Notae ad Quartodecimani

情報や資料のノートの蓄積

「富むこと」について

πλουτέω =be rich 7, be made rich 2, rich 1, wax rich 1, be increased with goods 1; 12 1) to be rich, to have abundance 1a) of outward possessions 2) metaph. to be richly supplied 2a) is affluent in resources so that he can give blessings of salvation to all  

 

Lk12:21

自分のために宝を積んでも神に対して富まない者は、これと同じである

[οὕτως ὁ θησαυρίζων ἑαυτῷ καὶ μὴ εἰς θεὸν πλουτῶν.]

 εις=into 573, to 281, unto 207, for 140, in 138, on 58, toward 29, against 26, misc 322; 1774 1) into, unto, to, towards, for, among  

 

「駱駝が針の穴を抜けるようなもの」Mt19:16 Mk10:17 Lk18:22

 

 

・OXFAM

”世界では、3人に一人が貧困の中で生きています。”

"貧困を抜け出し、豊かな暮らしを得るためには、世界中の人が参加する協力体制を作ることが必要です。"

オックスファムの目指す世界は、公正なルールにもとづいて、一人一人が尊厳を持ち、基本的に必要とされる生活を営み、自分の生活を自分で決めることができる世界です。私たちは、貧困に生きる人々がその貧困から抜け出そうとする努力をサポートし、また、貧困そのものを根本的になくすための活動を行っています。”

”貧困は複雑で、かつ広範囲にわたる問題です。解決のためには、数多く存在している隠れた原因を突き止め、専門的知識、分析能力、政策提言活動を組み合わせた多角的な取り組みが必要です。オックスファムが貧困解決に向けて生み出したレシピは、豊かな国においても貧しい国においても、「一人ひとりが権利を持つ」ということです。貧困をなくすために最も効果的な方法は、貧困に苦しむ人々が権力を持つ人々に対して、正義と公正を要求できるよう、サポートすることだとオックスファムは考えます。世界が変わるための鍵となるのは、貧困に生きる人々が権利を得てその権利を行使すること、そして、それを政府と市民が互いに受け入れ合うことです。人々が政治的意思決定に参加することで、自らの生活を変え、不公正な現実を変えることができるようになります。そして、最も弱い立場に置かれた人々でさえも、自分の権利を主張することができるようになります。”

"世界を変える力は人の声です。貧困に生きる人々が貧困から抜け出し、豊かな暮らしを得るためには、世界中の人が参加する協力体制を作ることが必要です。"

 <人権の抑圧と貧困とは相関性がある。それにしても、何を指標に「貧困」と言い、何を基準に「豊か」とするのかが曖昧なままで世界に協力体制を作れるものか?格差をどの程度に抑えるかという数値が明確にされると、それも抑圧を生むか?しかし、それは富者にとっての抑圧ではある><加えて貧富の差だけが貧困を生み出すわけでもなく、置かれた環境が原因であることも、産業が生じない風土に原因があることもある。もしOXFAMが権利を主張することに特化するとしたら、これは悪用される危険がある>

 

・Sustainable Development Goals website [SDG's]

「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030年アジェンダ

⇒ 「地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)こと」

”世界では所得格差に大きな開きが出ており、それを示したデータとして、世界の最富裕層の10%が全世界の所得の40%近くを占有していることが報告されています。

2014年に発表されたOECDの調査によると、加盟34か国のうちの多くで所得格差が過去30年で最大となっており、人口における最富裕層10%が最貧層10%の約9.6倍の所得を得ています。
1980年代には約7倍だったことから、世界的に所得の格差が開いていることになります。

十分な資産を持つ富裕層がいる一方で、1日に2米ドル以下で生活する極度の貧困状態で生活している人もいるという現状にあり、経済格差は改善するべき深刻な問題です。”

 

内閣府-(記事内引用)

「(新興国の)政府による規制緩和政策やグローバル化による富裕層への利益拡大の恩恵は大きいものとなりましたが、貧困層にはほとんど恩恵が受けられない政策となってしまったのです。

これは急速に発展した国内の経済に対して、貧困層に対しての十分な支援政策がなかったことや経済改革以前からある大きな不平等によって恩恵を受ける人が限られたごく一部の人だけだったことなどが原因となっています。

途上国でもそのような所得格差は顕著であり、各国内での格差は大きくなっています。
これも都市部と地方でのインフラの整備や教育環境、あるいは生活を取り巻く環境に大きな差ができてしまっていることが原因と考えられています。」

SDGsのターゲットの中には「世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。」ことが掲げられています。

これはリーマンショック以降世界的に進められてきた金融機関に対する規制づくりが元となっており、これによって世界経済は安定することとなりました。
しかしその一方では金融市場の流動性の低下、成長の阻害にもなりかねない状況です。
またこれにより企業や個人が資金調達をする上で不利益を被っていないか調査をする必要さえ出てきています。”

<この規制は企業側にも恐れを懐かせ、内部留保に走らせる誘因を作ってもいる。コロナウイルスでリーマン以上のショックを受けた世界では、もはや、よほどの好景気でも来ない限り回復も成長も無理だろう。しかし、グローバリズムから世界が離れるなら、まだ機会があるかも知れない。成長し続けるという方法以外に目標はないのか?>

 

 

・「得」と「損」がある取引が無限回行われると、必ず富は1人に集中する

Bruce M. Boghosian 

Professor of mathematics at Tufts University 

Research interests in applied dynamical systems and applied probability theory 

⇒ Is Inequality Inevitable?

 

「世界の人口の最も裕福な1%が保有する世界の家計資産の割合は、2008年と2018年の金融危機の間に42.5%から47.2%に増加し、世界の人口の下半分を合わせたものと同じくらいの世帯の財産、つまり約35億人分を所有していた。世帯調査で富を測定するほとんどすべての国からの統計は、富がますます集中している。」<富者は不況から巨額の儲けを出すことがある>

「自由市場は本質的にあなたが決して去ることができないカジノです。カジノに長く留まるほど、負ける可能性が高くなります。・・一見無害に見えるが微妙に偏ったトランザクションの膨大な数の集合的な影響のため、不平等は必然的にさらに大きくなります。」

「2017年、タフツのエイドリアン・デヴィットリー、メレク・ジョンソン、ジー・リー、ジェレミー・マーク、ホン・ヤンワンと私は、富の再分配を取り入れました。・・これは裕福な人には一定の資産税(税率は単位時間あたり)と貧しい人には補足的な補助金に相当します。実際には、富を平均より上にあるものから下にあるものに移します。この単純な変更により富の分布が安定し、寡占が発生しなくなったことがわかりました。」「さらに、裕福な人々がローンの低金利やより良い金融アドバイスなどの体系的な経済的利点を享受しているのに対し、貧困層は給料日の存在、貸し手の都合や、高い価格で買い物をしなければならないうえに、買物自体の時間の制約や不足などの体系的な経済的不利益に苦しんでいることが度々書かれています。ジェームズ・ボールドウィンがかつて観察したように、「貧困に苦しんだことのある人なら誰でも、貧困であることは非常に高くつくことを知っています。」したがって、上記と同じ論文では、富獲得のアドバンテージと呼ぶものを考慮に入れました。」

「そのような相転移は、1991年のソビエト連邦崩壊後の富の凝縮に重要な役割を果たした可能性があります。ソ連の旧州にショック療法経済学と呼ばれるものを課した結果、富の再分配が劇的に減少しました(つまり、χ)政府による減少と、突然の民営化と規制緩和の複合効果による富獲得の利点の同時増加(ζの増加)。結果として生じる「気温」(景気?)の低下により、国々は富が凝縮された状態になり、以前は共産主義だった国々は、一晩で部分的な寡占状態となりました。今日まで、旧ソ連の15の共和国のうち少なくとも10は、寡占として正確に説明できます。」

「これまでに発見された経験的資産分布の最適モデルは、想定される市場の力の均衡に基づくモデルではなく、再分配なしでは完全に不安定なモデルであることは注目に値します。実際、これらの数学的モデルは、富が貧しい人々に流れ落ちる#どころか、富の自然な傾向は上向きに流れることであり、自由市場経済における「自然な」富の分配は完全な寡占の1つであることを示しています。不平等の制限を設定するのは再分配のみです。」#(アダム=スミスを含意か?)

「数学モデルはまた、対称性の破れ、偶然性、および(たとえば、継承からの)初期の利点によって富の分布が引き起こされる莫大な範囲に注意を喚起します。そして、対称性の破れの存在は、「自発性」に訴える富の不平等の正しさ、つまり個人が自発的に取引に参加したからといって個人が経済的結果に対してすべての責任を負うという考え、または富の蓄積が賢さと勤勉さの結果であるとの考えです。富スペクトル上の個人の位置がそのような属性とある程度相関していることは事実ですが、そのスペクトルの全体的な形状は、それらを完全に無視する統計モデルによって0.33%を超えると説明できます。」

「さらに、慎重に設計された再分配メカニズムのみが、富が市場経済貧困層から富裕層へと流れるという自然の傾向を補うことができます。多くの場合、再配分は税金と混同されますが、2つの概念は完全に分離しておく必要があります。税金は人々から政府に流れ、それらの政府の活動に融資します。対照的に、再分配は政府によって実施される可能性がありますが#、市場経済に固有の不公平さを補うために、人々から人々への富の流れと考えるのが最善です。」#(それだけでない可能性、もしくは政府だけに期待できない事を含めているかも)

 

<数学として異論なく立証されるとなれば、その意義は非常に大きい> 

〈生まれながらの貧困から一代で富裕層に達する人が稀に出て、誰にも期待ができると錯覚させられることが多い〉

 〈高額医療費などの突発的必要を貧しい家計がどう賄うかついて、大数の法則に依存する保険と医療関係での受益者の、特に既得権益者の規制も必要では?〉

 

・Sir Partha Sarathi Dasgupta 

The Frank Ramsey Professor Emeritus of Economics at the University of Cambridge,

「人々は貧困を嫌っても、平等は願っていないという調査結果を得る」

 

 <これには単純でない幾つかの要因が思い浮かぶ>

 <格差是正の記事では「一日2米ドル以下で暮らす人」という言葉によく出会うが、これは個人か世帯か?>

世界銀行は、2015年10月、国際貧困ラインを2011年の購買力平価に基づき、1日1.90ドルと設定。(以前は1日1.25ドル) 貧困率は1990年の36%から2015年の10%に下がった。

< というけれど、やはり「家計」ということわりはない。しかし、これは「あの国」の巨大な数値操作の結果では? ともあれ、コロナ禍で指標は間違いなく恐ろしく変わるだろう。しかし、ダスグプタ氏の著作はずっと古いのだが?>

 

----------

近代私法の三原則

1.権利能力平等の原則

国籍・階級・職業・性別などにかかわらず、すべての人は等しく権利義務の帰属主体となる資格(権利能力)を有するという原則。

2.私的所有権絶対の原則

・何ら人為的拘束を受けず、侵害するあらゆる他人に対して主張することができる完全な支配権であり、国家の法よりも先に存在する権利で神聖不可侵であるとする。⇒ ヨベル

3.私的自治の原則

・過失責任の原則 ⇒ 避難都市条項

 

----------

貧しい者を憐れむ者はYHWHに貸すのだ、その施しについては主が酬いを払われる。Pr19:17

 

もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。

Mt19:21

 

主はみ腕をもって力をふるい、心の思いの奢り高ぶる者を追い散らし、権力ある者を王座から引きおろし、卑しい者を引き上げ、飢えている者を良いもので飽かせ、富んでいる者を空腹のまま帰らせなさいます。

Lk1:51-53

 

YHWHは、貧しくし、また富ませ、低くし、また高くするのです。
YHWHは弱い者を塵から起こし、貧しい人を芥から引き上げ、高貴な者と共に座わらせ、彼らに栄光の位を継がせます。まことに、地の柱はYHWHのもの、その上に主は世界を据えられました。

 1Sam2:7-8

 

富んでいる人たち、よく聞きなさい。自分に降り掛かってくる不幸を思って、泣きわめきなさい。
あなたがたの富は朽ち果て、衣服には虫が付き、金銀もさびてしまう。このさびこそが、あなたがたの罪の証拠となり、あなたがたの肉を火のように食い尽くすでしょう。あなたがたは、この終わりの時のために宝を蓄えた。
御覧なさい。畑を刈り入れた労働者にあなたがたが支払わなかった賃金が、叫び声をあげています。刈り入れをした人々の叫びは万軍の主の耳に達した。
あなたがたは、地上で贅沢に暮らして快楽に耽り、屠られる日に備え、自分の心を太らせ、正しい人を罪に定めて殺した。その人は、あなたがたに抵抗していないのに。

Jam5:1-6

 

地上の人には、激しい労役があるではないか。またその日は雇い労働者の日のようではないか。
奴隷が夕暮を慕うように、雇人がその賃銀を望むように

Job7:1-2

 

貧しく乏しい雇人は、同胞であれ、またはあなたの国で町のうちに寄留する他国人であれ、これを虐待してはならない。
賃銀はその日のうちに払い、それを日の没するまで延ばしてはならない。彼は貧しい者であるから、その魂をそれに懸けているのだ。もし、そうしなければ彼はあなたを主に訴えるので、あなたは罪を被るであろう。

Deu24:14-15

 

 それから人々にむかって言われた、どんな貪欲にも注意を払い、用心しなさい。有り余るほど物を持っていても、人の命は財産によってどうすることもできないからだ。

LK12:15

 

もし、あなたがわたしの民、あなたと共にいる貧しい者に金を貸す場合は、彼に対して貸金業者のようになってはならない。彼から利子を取ってはならない。

Ex22:24

 

人が全世界を勝ち得たとしても、自分の魂を失うなら何の得になろうか。
また、人は何を引き換えにその魂を買い戻すことができようか

Mt8:36-37 

 

悲しんでいるようでいて常に喜び、物乞いのようでいて多くの人を富ませ、無一物のようですべてのものを所有している。

1Cor6:10

 

エスは賽銭箱の向かいに座って、群衆がそれに金を入れる様子を見ておられた。大勢の金持ちが多額を献金していた。
ところが一人の貧しい寡婦が来て、レプトン銅貨2枚、すなわち1クァドランスを入れた。
エスは、弟子たちを呼び寄せて言われた。「まさしく、この貧しい寡婦は、賽銭箱に入れている人の中で誰よりも多くを入れた。皆は有り余る中から入れたが、この者は、乏しい中から自分の持てる物のすべて、生活のための金をみな入れたのだ」。

Mr12:41-44

 

あなたがたにとって貧しい者は常に居るが、わたしはいつも居るのではない。

Mt26:11

 

ある者は、ユダが金入れを預かっていたので、「祭りに必要な物を買いなさい」とか、貧しい人に何か施すようにと、イエスが言われたのだと思っていた。

Jh13:29

 

父なる神のみまえに清く汚れのない崇拝(トレ-スケイア*)とは、困っている孤児や寡婦を世話し、自らは世の汚れに染まずに、身を清く保つことにほかならない。

Jam1:27  *「宗教的崇拝方式」

 

わたしたちは、何ひとつ持たないでこの世にきた。また、何ひとつ持たないでこの世を去って行く。
ただ衣食があれば、それで足れりとすべきである。

富むことを願い求める者は、誘惑と罠とに陥り、また、人を滅びと破壊とに沈ませる、無分別な恐ろしいさまざまの情欲に陷る。

1Tim6:6-9

 

この世で富んでいる人々に命じなさい。高慢にならず、不確かな富に望みを置くのではなく、わたしたちにすべてのものを豊かに与えて楽しませてくださる神に望みを置くように

1Tim6:17

 

 

 

<宗教家は信者を騙すために聖句を用いるのだろうか?貧乏人を作ることは簡単だが、富者を作ることはまったく難しい。イエスの一行の金箱は必要物の購入と施しに用いられていたが、人頭税の支払に漁師のペテロに釣りをするよう命じ、奇跡が用いられたことがある。このバランスにどんな意味があるか?>

 

〈貧困問題は格差拡大にあると捉えられている。そこで再分配が提唱されている。だがその前に、交換社会自体に数学的無理があるとすると、原始共産化の方途しか残らないか?だが、それは現状の人間には根本的に無理がある。それから、「原始共産制」賛美にしても、「唯物史観」にしても、既にマルクス本人の個人的妄想であることが明らかにされているという。彼の「人間性の回復」という概念は宗教の領域に入っており、「科学的社会主義」そのものも宗教としか見做せない。多くの新興宗教がそうであるように、熱狂者を生んだとしても、万人に適用できるだけの根拠は無い。〉

 

 

 

 

 

LF