Notae ad Quartodecimani

情報や資料のノートの蓄積

回復の預言4

エレミヤ書に含まれる「回復の預言」を折々に書き出してゆく。

ベニヤミンに属するアナトテの祭司エレミヤは、ヨシア王の第十三年から神YHWHの託宣を預かる身となった。彼は当時若かったので預言を授かることに躊躇を感じたが、YHWHは彼を強め後ろ盾となることを約し、彼は大いなる預言者となってゆく。
YHWHからの託宣はその後も与えられ、最後の王ゼデキアの第十一年、聖都の陥落するアヴの月まであった。と冒頭にあるが、実際はその後もエジプトに拉致されるまで続き、その全体がエレミヤ書を構成している。

彼はユダヤに臨んだ神の処断を預言するだけでなく、眼前に目撃したので、ユダヤ体制崩壊までの四十年以上の歴史を刻んだことにも価値を持つ。
但し、その経験は熾烈なものとなり、受けた同胞からの敵意や反対も生命を脅かすほどのものとなった。しかし、YHWHはその都度彼を助け支え続けた。

本書は全体にユダヤへの激しい糾弾の言葉が多いが、許しと回復、また新しい契約を告知していることにおいて、イスラエルを捨て去らないYHWHの強い意志が表れている。この決意は後代に「神のイスラエル」へと引き継がれることになる。

エレミヤ書からは特に回復だけではなく「復讐」という項目を必要させるほどバビロンへの糾弾は激しい。これは別に挙げなくてはならない。

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3:11-19「背信イスラエルよ、帰れ!」・・「わたしはいつまでも憤慨し続けることはない」・・「背信の子らよ、帰れ!」「わたしはあなたがたの夫たる所有者となった」「わたしは都市から一人、家族から二人をとってシオンに連れてゆく、そして、わたしの心に適った牧者たちを与え、彼らは知識と洞察力をもってあなたがたを養う」「そして、その日、その地であなたがたは実を結ぶ」「彼らは、YHWHの契約の箱を云わず、心に上ることもない。」「そのとき、彼らはエルサレムYHWHの王座と呼ぶ」「あらゆる国民はエルサレムYHWHの下に集められ、もはや自分たちの頑なさに沿って歩むことはない」(Heb4:7)
「その日、ユダの家はイスラエルの家と共に歩み、北の地を去ってわたしが彼らの父祖に与えた相続地に来る」
「わたしは言った、わたしはあなたを子らの中に置き、望ましい諸国民の軍勢の飾りの相続地をあなたに与えたものだった」「あなたがたは、わたしの父よ!とわたしを呼び、わたしに従うことから引き離されることはなくなる」。(Rom8:15-17)

16:14-15見よ、その日が来る!その時もはや「イスラエルをエジプトから携えたYHWHは生きている」とは云われず、「イスラエルを北の地、また散らしたあらゆる土地から携えたYHWHは生きている」と云われる。わたしは彼らの父祖に与えた土地に彼らを必ず連れ戻すであろう。


17:24-26YHWHは言われる、もしあなたがたがわたしに聞き従い、安息日に荷をたずさえてこの町の門にはいらず、安息日を聖別して、なんのわざをもしないならば、ダビデの位に座する王たち、つかさたち、ユダの人々、エルサレムに住む者は、車と馬に乗ってこの町の門からはいることができる。そしてこの町には長く人が住むようになる。また人々はユダの町々やエルサレムの周囲、ベニヤミンの地、平地と山地およびネゲブから来て燔祭、犠牲、素祭、乳香、感謝祭をたずさえてYHWHの家に入る。


23:1-8YHWHは言われる、「わが牧場の羊を滅ぼし散らす牧者はわざわいである」。それゆえイスラエルの神、YHWHはわが民を養う牧者についてこう言われる、「あなたがたはわたしの群れを散らし、これを追いやって顧みなかった。見よ、わたしはあなたがたの悪しき行いによってあなたがたに報いる、とYHWHは言われる。
わたしの群れの残った者を、追いやったすべての地から集め、再びこれをそのおりに帰らせよう。彼らは子を産んでその数が多くなる。わたしはこれを養う牧者をその上に立てる、彼らは再び恐れることなく、またおののくことなく、いなくなることもない、とYHWHは言われる。
見よ、わたしがダビデのために一つの正しい枝を起す日がくる。彼は王となって世を治め、栄えて、公平と正義を世に行う。その日ユダは救を得て、イスラエルは安らかに住む。その名は『YHWHはわれわれの正義』と称えられる。(Isa9)
それゆえ見よ、人々は『イスラエルの民をエジプトの地から導き出されたYHWHは生きておられる』と言わず、『イスラエルの家の子孫を北の地と、そのすべて追いやられた地から導き出された神は生きておられる』という日が来る。その時、彼らは自分の地に住んでいる」。


25:12-14 YHWHは言われる、七十年の終った後に、わたしはバビロンの王と、その民と、カルデヤ人の地を、その罪のために罰し、永遠の荒れ地とする。 わたしはあの地について、わたしが語ったすべての言葉をその上に臨ませる。これはエレミヤが、諸国のことについて預言したものであって、すべてこの書にしるされている。多くの国々と偉大な王たちとは、彼らをさえ奴隷として仕えさせる。わたしは彼らの行いと、その手のわざに従って報いる」。


30:17-24 YHWHは言われる、わたしはあなたの健康を回復させ、あなたの傷をいやす。それは、人があなたを捨てられた者とよび、『だれも心に留めないシオン』というからである。
YHWHはこう仰せられる、見よ、わたしはヤコブの天幕を再び栄えさせ、そのすまいにあわれみを施す。町は、その丘に建てなおされ、宮殿はもと立っていた所に立つ。
感謝の歌と喜ぶ者の声とが、その中から出る。わたしが彼らを増すゆえ、彼らは少なくはなく、また彼らを尊ばれしめるゆえ、卑しめられることはない。
その子らは、いにしえのようになり、その会衆はわたしの前に堅く立つ。すべて彼らをしえたげる者をわたしは罰する。
その君は彼ら自身のうちのひとりであり、そのつかさは、そのうちから出る。わたしは彼をわたしに近づけ、彼はわたしに近づく。だれか自分の命をかけてわたしに近づく者があろうかとYHWHは言われる。
あなたがたは、わたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる」。
見よ、主の暴風がくる。憤りと、つむじ風が出て、悪人のこうべをうつ.
YHWHの燃える怒りは、御心の思うところを行って、成し遂げるまで去ることはない。終わりの日にあなたがたはそれを思い知る。



33:1-26(33章は全体が回復を預言)
33:1-エレミヤがまだ監視の庭に閉じ込められていたとき、再びエレミヤに次のようなYHWHの言葉があった。
「地を造られたYHWHそれを形造って確立させたYHWH、その名はYHWHである方がこう仰せられる。わたしを呼べ。そうすれば、わたしは、あなたに答え、あなたの知らない、理解を越えた大いなる事を、あなたに告げよう。
まことにイスラエルの神YHWHは、塁と剣で引き倒されるこの町の家々と、ユダの王たちの家々について、こう仰せられる。
彼らはカルデヤ人と戦おうとして出て行くが、彼らはわたしの怒りと憤りによって打ち殺された屍をその家々に満たす。それは、彼らのすべての悪のために、わたしがこの町から顔を隠したからだ。
見よ。わたしはこの町の傷をいやして直し、彼らを癒して彼らに平安と真実を豊かに示す。
わたしはユダとイスラエルの繁栄を元どおりにし、初めのように彼らを建て直す。
わたしは、彼らがわたしに犯したすべての咎から彼らを浄め、彼らがわたしに犯し、わたしに背いたすべての咎を赦す。
この町は世界の国々の間で、わたしにとって喜びの名となり、栄誉となり栄えとなる。彼らはわたしがこの民に与えるすべての祝福のことを聞き、わたしがこの町に与えるすべての祝福と平安のために、恐れ慄こう。」



33:10- YHWHはこう仰せられる。「あなたがたが、『人間も家畜もいなくて廃墟となった』と言っているこの所、人間も住民も家畜もいなくて荒れすたれたユダの町々とエルサレムのちまたで、楽しみの声と喜びの声、花婿の声と花嫁の声、『万軍のYHWHに感謝せよ。YHWHはいつくしみ深く、その恵みはとこしえまで』と言って、YHWHの家に感謝の犠牲を携えて来る人たちの声が再び聞こえる。それは、わたしがこの国の繁栄を元どおりにし、初めのようにするからだ」とYHWHは仰せられる。


33:12- 万軍のYHWHはこう仰せられる。「人間も家畜もいなくて廃墟となったこの所と、そのすべての町々に、再び、群れを伏させる牧者たちの住まいができる。この山の町々でも、低地の町々、ネゲブの町々、ベニヤミンの地、エルサレム近郊、ユダの町々でも、再び群れが、数を数える者の手を通り過ぎる」とYHWHは仰せられる。



33:14- 「見よ。その日が来る。YHWHの御告げ その日、わたしは、イスラエルの家とユダの家に語った慈しみのことばを成就する。その日、その時、わたしはダビデのために正義の若枝を芽ばえさせる。彼はこの国に公義と正義を行う。その日、ユダは救われ、エルサレムは安らかに住み、こうしてこの町は、『YHWHは私たちの正義』と名付けられる。」
まことにYHWHはこう仰せられる。「ダビデには、イスラエルの家の王座に着く人が絶えることはない。またレビ人の祭司たちにも、わたしの前で全焼の犠牲を捧げ、穀物の捧げ物を焼き、いつも犠牲を捧げる人が絶えることはない。」



33:19- エレミヤに次のようなYHWHのことばがあった。
YHWHはこう仰せられる。もし、あなたがたが、昼と結んだわたしの契約と、夜と結んだわたしの契約とを破ることができ、昼と夜とが定まった時に来ないようにすることができるなら、わたしのしもべダビデと結んだわたしの契約も破られ、彼には王座に着く子がいなくなり、わたしに仕えるレヴィ人の祭司たちとのわたしの契約も破られよう。天の万象が数えきれず、海の砂が量れないように、わたしは、わたしのしもべダビデの子孫と、わたしに仕えるレヴィ人とを増やす。」


33:23- エレミヤに次のようなYHWHのことばがあった。
「あなたはこの民が『YHWHは選んだ二つの部族を退けた』と言って話しているのを知らないのか。彼らはわたしの民をもはや一つの民ではないと看做して侮っている。」
YHWHはこう仰せられる。「もしわたしが昼と夜とに契約を結ばず、天と地との諸法則をわたしが定めなかったのなら、わたしは、ヤコブの子孫と、わたしの僕ダビデの子孫とを退け、その子孫の中から、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫を治める者を選ばないようなこともあろう。しかし、わたしは彼らの繁栄を元どおりにし、彼らを憐れむ。」








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